(注:これは、4年前のお話です。ことの経緯はこちらから)
極寒の吹雪の中、私はホテルへ向かって歩き出していた。
スーツケースというのは滑車が付いているからお手軽に運べる
のだが、路面が雪で埋もれている状態では、無理やり引きずるか
持ち上げるしかない。持ち上げるのはさすがに無理なので、
少しずつ引きずっていく。
最初の交差点のところで、手に小銭集めのコーヒーカップを持った
おっちゃんに声をかけられた。「それどころじゃないよ」と
思っていたら、どうやら手伝ってくれるらしい。
目を見ると、本気でかわいそうだと思ってくれているようだ。
最初は断っていたのだが、あまりに真摯なので運んでくれるに任せた。
交差点をわたりきったところで、「A Happy New Year!」と笑顔で
送りだしてくれた。思わず小銭を渡そうとしたが、彼は首を振る。
どうやらあくまでも善意だと言いたいらしい。
なかなか人情深い義侠人である。
さらに数ブロック歩くと、今度は店の中の店員が、突然後から
追いかけてくる。何かと思ったら、私のスーツケースの持ち方が
気に入らないらしい。首のところを伸ばして引いたほうがよいと
言うのだ。やってみると確かにちょっと楽になった気がした。
お兄ちゃんは満足げに頷き、そして去っていった。
その後も数人から激励のエールを受け取りつつ、40分後にようやく
ホテルにたどり着いた。振り返ってみれば、周りの人は平気な顔。
彼らの町なのだから当然だが、一人で南極大陸横断の偉業を
成し遂げた達成感がむなしく氷解していく。
ホテルに着き、部屋に入ってやっと緊張が解けた。
手がガクガクするほど凍え、疲れているのを感じる。
やはり、最初っからスムーズにはいかないらしい。
これから6ヶ月、どう考えてもすんなりはいかないのだろう。
Springfieldで第一の洗礼をありがたく受けた。
明日はバスが走るといい、そう願いながら長い一日を終える。
***
これが、4年前の出来事とは、ほんとに信じられない。。。
今の生活も、それなりに刺激に満ちたものだと思っていたけれど、
このときを振り返ると、むしろまともなことに出会うほうが
少なかった気がする。
この当時のエピソードは、実はまだまだまだまだた〜くさん
あるのですが、また折をみてちょっとずつ書き足していこうと
思います。

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