16歳だったあの日のことを思うための一日。
決して、心から消えることのない記憶。
不思議と小さな欠片ばかり覚えてるのはなぜだろう。
病室の冷たいガラスに映ったTシャツの色。
地下鉄の中で響いてたレールの音。
走り抜けた白い壁の連なり。
「胸が張り裂ける」ってこういうことなんだ。
ずっと言葉だけの表現だと思っていたのに。
破れてしまったの。
声もでなかった。
それでも涙だけは溢れ続ける。
この瞳から。この心から。
あのときは、壊れた蛇口から水がとめどなく滴り落ちるように。
そして今は、岩々の隙間から地下水が滲み出るように。
誰かのために涙を流せるわたしは幸せだろうか。
10年目の一日。
今日だけは悲しいままでいさせてほしい。