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特集 vol.1
国連デーフォーラム 「国連で働く」
Dr.
Chizuru Aoki UNEP (United Nations Environment Programme)
UNEP(国連環境計画)は、ケニアのナイロビに本部があり、次の世代の人々の生活水準が低下することなく、生活の質を改善できるよう環境保護による協力を推進している組織です。UNEPは、裏方的な存在です。
私は、10年前にJPOでUNEPの配置になり、それから一度離れていたのですが、ちょうど4ヶ月ほど前から再びUNEPの、今度は滋賀県のセンターで働くことになりました。環境技術、企業の環境パフォーマンスの改善に携わっています。
UNEPの専門職員は400人しかおらず、そのうち日本人は約15名。予算は二年間で115億円。この数字は日本の環境省の50分の1なのです。財政難であるということには疑問の余地はないのですが、職員の数が少ない理由としては、UNEPが実施機関ではなく調整機関であるという点が挙げられるのではないかと思います。環境の専門家として働いていますので、転勤やローテーションも非常に少ない職場です。
このような状況下でのUNEPの独自のアプローチは、まず世界の環境に起こっている事象やケースを調査報告すること、そして国際的な政策や枠組みを作ること。代表的なものでいうとウィーン条約、ワシントン条約などの国際環境条約の推進。それから、環境問題に取り組む組織の支援、環境技術の移転。最後が企業とのパートナーシップを推進することです。少しまとめると、これらの活動はすべて当事者の皆さんが問題に取り組むための能力を開発するというのが大きな目的だと思います。
私自身は、水資源工学を専攻していたエンジニアとして、1992年にJPOに合格し、Cleaner
Production Programというプロジェクトに参画したことが始まりでした。合計4年間働いた後休職しまして、4ヶ月前に再配属になりました。戻ってきた理由は、途上国で環境に関する能力開発の新しいプロジェクトが始まるということでそちらの支援のために呼び戻されたという形になっています。
NCPC(National
Cleaner Production Center)というセンターを途上国に作り、産業廃棄物を削減したり、効率のよい原料の利用を進めようという能力開発のプログラムでした。また、収益性の改善も同時に目指しています。情報提供や政策提言を含めたアプローチでした。ちょうどUNEPで働く前にコンサルタントとして、環境監査をやっていた経験がありましたので、そのスキルを活かした仕事ができたと思います。その当時一番時間をとったのが、関連機関、コンサルタントとのコーディネーションやネゴシエーションでした。
このプロジェクトの成功は、センターの運営を現地のプロに任せたこと。それから10のセンター間での情報交換ができたこと。最後にネットワークを利用した多数の監査が可能になったことが挙げられると思います。
UNEPで求められている資質について。まず専門知識。エンジニアでなくとも、政治学、法律学などの専門知識であっても必要とされることもあります。そして信用や説得力。最後にいわゆるネットワーク能力が、各種機関との調整役として求められると思います。
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