ブラジルでストリートチルドレンの子供たちにあったとき、そして彼ら
ひとりひとりの話を聞くにつれて、わたしは「自分が同じ立場だったら、
間違いなく彼らと同じように、生き延びるために体を売ったり、盗みを
したりしただろう」と、そう思いました。
それは、わたしにとって初めて心の底からそういう生活を送っている
子供たちと心を重ね合わせた瞬間だった。誰かとまったく同じ気持ちに
なるなんて不可能なのだと理解するとともに、まったく同じになれない
からこそ必要な「共感」することのほんとうの意味を知った瞬間だった。
あのときと同じように。
原爆資料館で戦争時の資料をみていて思った。
「わたし、この時代に生まれてたらどんな風に生きたろうか?」
誰よりも先に、お国のために戦うことを、志したろう。
家族を叱咤し、周りを鼓舞し、正しくあることを求めただろう。
アメリカを憎み、イギリスを蔑み、そして心底恐れたかもしれない。
今の私が、「間違っている」と思えるありとあらゆることを。
まっすぐに信じて迷わず遂行しただろう。
今のわたしが持つ考えや行動のほとんどは。
時代の偶然と環境の気まぐれが生み出した結果に過ぎない。
だからこそ。
今、人を殺さずにはいられない誰か。
今、人を傷つけずにはいられない誰か。
その人の魂そのものが間違っているわけじゃないようにおもう。
そして、こうした今の私自身の考えさえも、後世生まれ変わった自分が
知ったら、きっと稚拙で、間違いだらけなのだろう。