「社会貢献はCSR推進に寄与できるか?」というテーマで一橋大学
イノベーション研究センターの米倉誠一郎氏のお話をうかがいました。
しかしながら、話のほとんどは彼の専門である「イノベーション」の
話に終始。私はそっちのほうがはるかに面白かったと思うのですが、
企業派遣で来ていたひとたちにとってはどうかしら(笑)。
印象に残っていたのは、「合意と期待形成としてのビジョン」
という考え方。ビジョンというものは「期待をコーディネートするもの」で
あるといいます。どういうことかというと、例えば美人投票をすると
します。すると当然ながら票が割れますね。しかし、「得票率が高かっ
たと思われる人を当ててください。当たった人にはプレゼント」という
条件をつけたとたんに、「みんながこの人に投票するだろう」という
人物に票が集約されます。これが「期待がコーディネートされること」
です。その他、たとえば株価なんかも同じような理屈にもとづいて上下
しますね。
ビジョンとは、「この方向へ行けば、自分にもいいし、みんなにもいい
ことがありそうだ、という方向を明らかにすることで期待がコーディ
ネートされ、結果的にバラバラだった異見がまとまり合意形成が達成
される」そういうものだという考え方。これは今まで自分がもっていた
「ビジョン」の概念を違った方向から照らしてくれました。
「ビジョン」を掲げる人はたくさんいますが、上記のような意味で
「期待をコーディネートする」意図を持って、
合意形成という結果を生むビジョン
を作ることができている人はそれほどいないのではないでしょうか。
そういう意味では「ビジョン」とはただ自分が信じ切れるものであれ
ばいいように考えがちですが、これほど「ひとりよがり」が許されない
ものもないかもしれません。別の表現をすれば、どれだけビジョンが
他人の共感を生み出せるか、が勝負。
それから「イノベーション」に関しては、「既存のものの組み合わせ」
「古いものを新しい目で見ること(Vu Ja De)」「異質なもの、異論
を許容するだけではなく、自ら求めること」「変化を常態化させる
こと」「前提を共有しないこと」などによって発生する確率を高める
ことができるという話を各種の例を用いてお話をしてくださいました。
彼の言うところの「イノベーション」は小さくても世界を変える可能性
のあるもの。例えばサマータイム制度。例えば出てくる水で発電する
水道の仕組み(途上国で水道施設が設けられない大きな理由は電気が
ないためなのです)。例えば貧しい人に小額のお金を融資するという
マイクロクレジットのシステム。
それは、縦のものを縦のままで解決しようとすればそもそも不可能な
ことなのです。既存の社会の枠に捉われたままでは決して生まれて
こないソリューション。社会起業家とは、己のビジョンを実現させる
ために、こうした社会の枠を飛び越えたところで解決策を提示する
人たちのことだと思う。
イノベーションは美しく、セクシーだ。
[本日の日記に★ざぶとん一枚★]
投稿者 遙 : 2004年07月30日 09:01 | トラックバック (5)