2004年06月22日

返り血を浴びる覚悟

「覚悟」という言葉に対する思いを綴ったところ、応援のメッセージと
ともに、以下のようなエピソードをご紹介いただきました。

京セラの稲盛名誉会長(以下塾長)との一問一答より。

【問い】
塾長がアメリカへ進出した時に、一緒に行った方を辞めさせたとお聞き
しておりますが、その時の判断基準は何だったのでしょうか?

【塾長】
私は売り上げを上げるには、どうしてもアメリカへ進出したいと思い、
前に働いていた会社の11歳年上の海外部長の方が京セラへ来たいと
いうので、英語も達者、海外の取引も事情がよく分かってらっしゃる
方でしたので、来て頂き、一緒にアメリカへ行きました。私は社員が
一生懸命働いてくれたお金で渡米し、何としてでも注文を取って帰ら
ないといけないと、必死でした。

しかし、彼は海外には行き慣れている。仕事も慣れている。戦後まだ
14年位でしたか、敗戦国の日本人がアメリカで対等に商談するのは
難しかったでしょう。しかし、私は1日滞在が延びるごとに、会社の
金を無駄遣いしていることになるので、イライラしていました。

彼は前の会社では上司で年上でしたが、その時は私が重役で彼が部長、
のらりくらりと仕事をするので、もう途中で私も我慢が出来ずに、
「貴方のような方は要りません、今すぐ帰ってください。帰るだけで
なく、京セラとして貴方は必要ありません」といって、辞めさせて
しまいました。

そうして、彼は帰国して、家に帰って会社を首になったと言うと、
義理の親父さんがなんでやと言うことになって、後日会社に来られま
した。私はこれこれしかじかで、辞めて頂きましたと申しあげまし
たら、その親父さんは「稲盛さんよくいうてくれました、ウチの婿殿
は私もそう言うところがあると、チョットは思っていました。しかし
婿養子でもあり今まで言うことはありませんでした。今から帰って
私も彼に考え直すように言いたいと思います。もし分かってくれな
かったら、娘とも離婚してもらいます」と言って、親父さんは帰られ
ました。

次の日、本人が会社へ来まして、もう一度だけやらせてくれと言うの
で、良く話し合いをし、やってもらうことになりました。そうして
その人が今の京セラアメリカを作り上げてくれました。

皆さんに申し上げたいのは、経営者が何か判断する時には、反作用が
必ず起こると言うことです。良い悪いは別としましても、何か判断を
すれば必ず反作用が起こるのです。もっというなら必ず返り血を浴び
ることになるのです。その覚悟が出来ているかどうかだと思います。

私もアメリカで彼を帰して一人になったら、英語も喋れない、あても
ない。私も損をするわけです。私もどうしようもなくなるわけです。
普通はそうなるのが嫌だから、まあ少しは目をつぶったり、ここで
彼に辞められては会社がうまくいかないとか、反作用をおそれて、
返り血を浴びることを避けるが余りに判断を誤ってられる場合が殆ど
だと思うのです。

経営者が判断を間違わないようにするためには、必ず反作用が起こる、
返り血を浴びる覚悟を、まずしないといけないと思います。

(以上、盛和塾塾長例会懇親会の席にて)

「返り血を浴びる覚悟」

それは、物騒な言い方ではありますが、人を斬るときにしか生まれない
覚悟なのでしょう。私が最近感じていた「お客さまに対する覚悟」とは
また違った角度。

この感じ、まだわからない。

でも、いつか同じような場面に出会ったとき、そして自らその覚悟を
決めるとき、きっとはじめて腹に落ちる内容なんだろうと思う。

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投稿者 遙 : 2004年06月22日 07:32 | トラックバック (14)
コメント

返り血を浴びる覚悟は、仕事によっては、お客様に対する覚悟のなかにもあると思います。担当の方の成功や将来、また、受けた仕事への責任を考えると、いかに窓口の方とはいえ、「返り血を浴びる覚悟」で議論しなければならない時があります。
いい顔をするだけが、お客さま第一主義とは思いません。

Posted by: 大西 宏 : 2004年06月25日 00:20

返り血を浴びる覚悟は、仕事によっては、お客様に対する覚悟のなかにもあると思います。担当の方の成功や将来、また、受けた仕事への責任を考えると、いかに窓口の方とはいえ、「返り血を浴びる覚悟」で議論しなければならない時があります。
いい顔をするだけが、お客さま第一主義とは思いません。

Posted by: 大西 宏 : 2004年06月25日 00:20
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