銀河鉄道の夜
宮沢 賢治
【こんな人にお勧め】
とにかくすべての人に。
【立ち読み書評】
「立ち読み」なんてとても言えません。もう何度も何度も何度も何度
も何度も何度も読んだ本。もしかしたら私が今まででイチバン何度も
繰り返して読んだ本かもしれません。
そして、何度読んでも必ず涙が溢れてしまうのはこのくだり。ジョバ
ンニとカムパネルラがふたりきりになって、どこまでも一緒に行こう
と励ましあう。そしてジョバンニが口にする言葉なのです。
「僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば
僕のからだなんて百ぺん灼いてもかまわない。けれどもほんとうの
さいわいは一体何だろう」
なぜ小学生の自分がこの言葉に涙を流せたのか、今思えばとても不思
議です。でも、このくだりを読むたびに焼けつくような想いがこみ
上げてきて泣かずにはいられなかった。
自分はどうしたら「みんなのほんとうのさいわい」を見つけることが
できるんだろう?
ああ、それさえわかったならば今すぐにでも、なんだってやるのに!
でも、自分にはあまりに何もできないという現実に身を焼かれるよう
な思いがしたのです。ほんとうに、不思議なくらい本の中のジョバン
ニと同じ気持ちだった。だからそのあまりのせつなさに涙がこぼれて
止まらなかったのかもしれません。
実は私はこの作品をバレエで踊ったことがあります。それも私がジョ
バンニ役であり、私の幼馴染がカムパネルラ。シーンのひとつひとつ、
動きのひとつひとつ。あれほどに魂を込めて踊ることができたのは後
にも先にもあれきりでした。
宮沢賢治や彼の作品世界について書こうと思ったら、もうほんとうに
いろいろな想いが溢れてきて、いっぱいいっぱい(笑)。銀河鉄道の
夜以外にもお勧めの短編がたくさんあります。特に好きなのは、猫の
事務所、黄色いトマト、そしてよだかの星。
どれも、信じられないくらい透明で、切なくて、でもほんとうはとて
も静かな強さを秘めています。