「これから働き方はどう変わるのか - すべての人々が「社会起業家」となる時代」
田坂 広志
【こんな人にお勧め】
自分の今の職場で何かが足りないと思われる方、熱い志や夢を持っていて
実現に向かって歩んでいる方。
【立ち読み書評】
今年の夏に講演を拝聴させていただいてから、すっかり私の崇拝対象に
なっている田坂氏の新著。
あまりにも多くの素晴らしいメッセージがこめられていたため、少し長くなる
かもしれないがひとつひとつ取り上げていきたいと思う。
「仕事の報酬は仕事そのものになりうる」
目に見える給料や地位などの報酬に加えて、プロとしての能力習得、
働き甲斐のある仕事そのもの、また人間的な成長など目に見えない報酬
が存在する。
「働くとは、傍を楽にすること」
周りの人が楽になれるような動きをすること、社会に対して貢献することが
本来の「働く」の意味。
「営利企業には社会貢献が求められ、非営利組織には事業性が求められる」
これからは、企業や組織は本来社会に貢献するために存在するという認識、
そして社会貢献をするためにこそ事業を通して適切な利益をあげていくこ
とが重要になってくる。
「起業家とは必ずしも会社を起こす人ではなく、なんらかの変革を起こす
もの、イノベーターである」
会社の中で何か新しい提案をすること、身の回りの問題を自分の視点
で解決方法を見つけていくことなども含まれる。
「社会起業家に求められる資質とは、志と人間的魅力」
何度失敗しても挑戦し続けることができる、自分を支えることのできる志
や使命感が必要。また使える資源が限られているため、人間的魅力と
共感力をもって周囲に人が集まる人になること。
「人間は自分を癒すことができないと目の前の世界を癒したくなる」
自分の人間としての成長の課題から逃避するために社会貢献を語って
いないか?
「自分を変えられない人は社会を変えることはできない」
自己変革の重要性。
「共感力とは、相手の共感を得る力ではない」
それは、相手に共感する力である。
「社会起業家に求められる強さとは、勝ち残る強さ、失敗しない強さではない」
失敗しても必ず立ち上がる強さであり、失敗を通じて成長し続ける強さで
ある。生涯にわたって社会変革の歩みを続ける志あってこそ可能となる。
また、周囲もその人が勝ち残れそうだから助けるのではない。その人が決して
歩みを止めないだろうと思うからこそ応援する。
「社会起業家とは、いつかやってくる良き社会のために、その礎となることを
静かな喜びとともに覚悟しているものである」
己一代で終わる野心ではなく、次の世代へ引き継いでいくための祈り。
田坂さんの文章に感動させられるのは、その言葉選びの丁寧さ、的確さ、
そして言葉に込められた想いの強さ。彼の文章、お話を伺うとき、私の頭
には必ず「言霊」という単語がよぎります。
そして、物事の二面性を鮮やかに見せてくれるその視点の変え方の鋭さに
出会うたびに、裏返した言葉の中により深い真実を見つけ出す驚きを
禁じえないのです。
