18万の人口を抱え、南米最大の貧民街と言われるRocinhaで、女性の服飾
協同組合を運営しているCoopa-Rocaを訪ねました。Coopa-Rocaが通常の
開発地域における共同組合と一線を画しているのはそのストラテジーに
あります。
彼らは、安い素材で安い商品を生産するのではなく、とびきり高級な素材
に付加価値の高い技術を重ねることで従来とは全く違った都市のファッシ
ョンエリート市場へのアクセスを得ました。
日本で買っても高い!と思えるようなブランドやデザイナーと提携して商
品を卸し、ベルリンやロンドンでファッションショーに参加する。その立
役者である女性たちは、以前は全く現金収入の手段を持っていなかったと
いうのだから驚きです。
前回取材したときにCoopa-Rocaを作ったTete Lealの印象的な言葉が今で
も忘れられません。
"Poor plus poor equals poor, but poor plus rich equals new possibilities."
ビジネスの特質を理解し、新しい視点で社会の課題を解決していく手段を
生み出し続ける彼女はまさに社会起業家と呼ぶにふさわしい。
***
Teteに連れられて二度目のRocinha訪問。切り立った山に連なるように立
てられたレンガの家々、そしてその家や壁が作るトンネルをくぐり抜けて
上っていきます。突如としてその壁の間に肉屋さんや駄菓子屋さんがあら
われたりします。本当に不思議な空間で、文章では表せないのが残念です
が、とにかく子供や老人や犬や猫やらがその狭い通路を走り抜けたり、
よろよろ歩いていたり、座り込んでいたりするのです。
Coopa-Rocaもまさにそんな家のひとつを改造して作られており、昼過ぎに
なると、たくさんの女性が集まってきて刺繍や服の制作を行っています。
様々な商品を見せてもらいながら、どんなコラボレーションが可能か議論
が進みます。小さなビーズ細工や刺繍程度なら、10日で500オーダーは可
能ということなので、万単位は難しいと思いますが、それなりの数は出せ
そうです。なにより、Tete曰く仕事が欲しい女性はいくらでもいる、と。
今日訪れたときも着々とトレーニングがなされており、今後新しい建物に
移って、より多くの女性を巻き込んでいく予定だということなので将来的
な生産能力は現在の2倍から3倍程度になると思われます。
そして、Coopa-Rocaの場合には完全なオーダーメイドになるので、彼らの
持ち味であるビーズ細工や独特の刺繍の特徴をつかんでおきさえすれば
都度デザインを渡して作ってもらうというプロセスになります。
今日実際のプロセスを詰めていて思ったことは、タイミングがものすごく
難しい商売だな、ということ。先にお客さんを捕まえると、サンプルを
作ってもらった挙句に値段が折り合わないことや生産能力が追いつかない
場合が当然ある。逆に商品ありきだと、顧客のニーズにぴったり合った
ものを見つけるというのはほぼ不可能に近い。個人向けでストックを持つ
のなら商品ありきでよいのですが、法人向けにカスタマイズした商品を
売ろうと考えている以上基本的には顧客ありきです。
今更何言ってんの?と言われそうですが、改めてめちゃめちゃ難しい!!
と思います。果たしてこれだけの手間をかける意味があるのか?という
思考が頭をよぎったそのとき、Teteが発した言葉にはっとしました。
「あなたはこれからたくさんの人を助けることになる。がんばって」と。
投稿者 遙 : 2003年11月18日 19:02 | トラックバック (11)