「パパラギ - はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集」
岡崎 照男(翻訳)
【こんな人にお勧め】
ほんとうの「豊かさ」とは何か?を考える人に。
【立ち読み書評】
サモア人の酋長、ツイアビという人物が初めてヨーロッパを訪れ、彼らの文明
の危うさを見破り、故郷の人々に警告したとされる演説集である。
「パパラギ」とは白人のことを指す現地語だ。
表現が非常にユニークで、例えば「パパラギのからだをおおう腰布とむしろに
ついて」というのは我々が身につける洋服のこと、そして「石の箱、石の割れ
目」はそれぞれ建物と道路のことを指している。彼自身の目でみて、感じて
考えたからこそこのような表現が生まれたのだと思う。読みすすめているうちに、
自分が裸の王様になった気分がする本だ。
彼は言う。
美しい女の体をなぜ太陽の恵みにさらし、皆で愛でないのか?隠すから
男達は欲望の虜になり、振り回されるのだ、と。
なぜパパラギは土地やモノを所有したがるのか?椰子の木から実をとること、
すなわち神様の手を握って喜びを分かち合うことは許されても、椰子の木を
引き抜くことは神様を貧しくする、と。
そして、パパラギにはひまがないというけれど、ほんとうはそうじゃない、皆十分
に生きていることを楽しむだけの時間が与えられているんだ、と。
こんな数々の言葉の中に、自分の身の回りの価値観がすべてではないと
気づかされる。ただただ「スローライフ万歳」ということではなく、自分の生きる
根本は何なのか?何があれば自分は豊かに生きられるのか、を考えさせら
れる本だ。
