Projeto Carmimを訪れました。病院でエイズや癌患者のためのアート
教育を行っている団体です。創立者のEduardoは、自らの入院体験から、
病院において医療関係者の患者に対する態度が非人間的であることに
強い問題意識を持って、8年前から活動を始めました。

現在までで延べ20,000セッションにも及ぶワークショップを行い、13
の展示会を開いてきた実績を持っています。患者と家族や医療関係者
のコミュニケーションを促進し、患者の尊厳を甦らせ、希望と笑顔を
生み出すプロジェクトです。後から知ったのですが、「Carmim」とは
「赤い命」あるいは「情熱」という意味。
そして、さらに面白いのが、彼らはCarmim Escola Social de Arteという
社会の課題とアートの接点を作る学校を経営しているという点。学生は、
環境問題、教育、貧困、青少年犯罪などを解決する手段として芸術を
どのように利用できるか、ということを学びます。貧困地域から奨学
金で入学する学生も多く、彼らは卒業後に学んだことを自分の地域で
生かすチャンスや職業を得るためのスキルも同時に得ていきます。
ブラジルでは、政府が特に貧困地域の若者のためにNPOで就労する機会
を与える奨学金を出しています。若者は自分の興味に応じてNPOを選択
することができ、そこで一定の経験を積むことで社会に出る準備を整
えるわけです。NPO側としても最初は時間がかかっても給与を直接払う
ことなしに働いてくれる人材がいることはメリットになります。日本
だと日産のNPO奨学金制度がありますが、政府がというのは聞いたこと
がないですね。
今日ちょうど奨学生のためのクラスを覗いてきたのですが、あんまり
好奇心が強くて、一瞬もじっとしていないので、なんだかRecifeのスト
リートチルドレンの子供たちを思い出しました。
グループでそれぞれのプロジェクトについてテレながら説明してくれ
たのですが、なかなか面白い。例えばオリジナルのコミックブックを
作って地域の小学校に配るプロジェクト、ストリートアート(許可を
もらった壁にテーマ性のある絵を書く)のプロジェクト、それから
少年院でワークショップを開くプロジェクト、リサイクル素材で製品
を作るプロジェクトなど。
ブラジルのNPOを訪ねていて思うのは、我々が彼らの活動やノウハウから
学べることがものすごく多いということ。例えば上記のような社会と
芸術を結ぶアートスクールというのは、ソーシャルデザインとからめて
美大などのコースにできそうだし(著名芸術家を巻き込めれば学校だっ
て作れそう?)、病院での芸術教育(ホスピスなどではもうあるのかも
しれませんが)は個人的には是非やってもらいたい内容です。Grupo
Primaveraでのクリエイティブな教育や地域密着型スクールのコンセプト、
Viva Rioのワークシェアリングやキャンペーンの効果的な実施方法など、
数えればきりがありません。
ここに来て、いろんな人に出会って様々な活動に触れていると、彼ら
がある側面では我々の一歩も二歩も先を歩いているということがよく
わかります。そんな現実に気がつけば気がつくほどに私がやりたいの
はまったく従来の「フェアトレード」ではないということを痛感する
のです。
モノ、カネ、ヒト、アイディア、イノベーション、コンセプト。
そして「想い」や「愛」
あらゆるものを地図に描かれた国境を越えて、よりスムーズにより
効果的に交換し共有する、そのための創造的な触媒であり、かかわる
全ての人により遠くより高く飛ぶことのできる力を与えるアクティブ
でしなやかな力強い翼のような存在。
それこそ私が遠い未来に描くJusTradeのビジョン。
投稿者 遙 : 2003年12月01日 19:23 | トラックバック (12)